とある堕天使のモノガタリ ~INTROITUS~

「右京君と言ったかね?

“グリモワール”と言うものを知っているかね?」

「“大奥義書”ですよね?」

「実際見たことは?」

「昔一度だけあります。」

「色んな種類があるのだよ。

だが、私の愛読書は“メレゲトン”だ。」


“メレゲトン”
黒魔術の手引き書


…それを実践したのか…


「岡本さんは試したんですね?」


「試したのではないよ。
…選ばれたのだよ…」


喜んでいるのだろうが、取り憑かれて正気を失って居るようにも思えた。


普通の憑依された者と明らかに違うのは岡本には自我が存在していた。


「…何に選ばれたんですか?」

「偉大な悪魔さ…

…気になるのかい?」

「とても。悪魔召還…と言うよりは憑依された体であなたの様に自我を保ったままでいられるケースは初めて見た。」


そう言うと俺もニヤリと口角をあげた。。


「あなたの愛読書が“メレゲトン”なら…

俺の愛読書は“アルス・ノトリア”ですかねぇ…」

「なんだと!?

君は天使を召還させる事が出来ると言うのか!?」

「いえ、召還は出来ませんよ。」


どこかホッとした様子の岡本を見て理解した。


この男は自分に“悪魔を憑依させて力を告示している”のだと…



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