とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
忍の隣に座ると一緒にローソクの火を吹き消した。
「なんかお願いした?」
「え?それって誕生日ケーキじゃねーの?」
「そうなの?いいじゃない、ケーキには変わりないんだし!」
「忍はなんか願い事した?」
「ナイショ!」
ニコニコ笑いながらナイフを手にすると「右京、電気つけて」と言ったが俺は動かず暗闇の中で忍を見つめた。
「暗い部屋でナイフを持つ女...すげー怖い...」
「ぷっ...その怖い女、あなたの彼女なんですけど。」
「そうだった。」
俺達はクスクス笑った。
いつまでも電気を付けない俺に痺れを切らして忍が立ち上がろうとするのを俺は制して人差し指を立てた。
その指をくるくる回すといくつかの光の球体が部屋に散らばって照明代わりになった。
「わぁ!すごいすごい!」
そう言って子供の様に手を叩いて喜ぶ忍に頬が緩んだ。
「停電の時も便利ね!」
「忍...ムード台無し~」
そう言うと忍は小さく舌を出して笑った。
そしてちょっと俺に顔を近づけて瞼を閉じた。
その頬に俺は手を添えて少し長めのキスをした。
「おいしかった。」
「ふふ...まだ食べてないよ。」
「じゃあ食べないと...」
俺は忍の手を引っ張ってひざの上に乗せると再び口を塞いだ。
「ん...右京...食べるんじゃないの?」
「食べるよ。...あまいもの...」
「...ばか...」
忍の身体を抱えて立ち上がると俺は真っ暗な廊下に出て階段を上がった。