君が教えてくれたこと
「緊張する」

「何番目だっけ?」
「なにやってんの?」

僕は、ステージ裏にいる幸太朗と真由美に声をかけた。
「おー、北山!」

「お前、何番目だっけ?」
「3番目だけど」

「おー、そうか。真由美、大丈夫か?深呼吸だぞ」

「あのさ、出るの俺なんだけど」

「あっ、そうか。そうだった」
「ほら、ここは出場者しか入れない場所だから」

僕は、幸太朗と真由美の背中を押した。
「おぉ、わかった。頑張れよ!北山!見てるからな!!」

「分かったよ!ありがと。ほら、行けよ」
正直、二人のお陰で、少し落ち着いた。

歌合戦の予選が始まった。

予選第一ブロックから、出場者の歌唱力に、体育館には歓声があがった。
由梨と折越は体育館で、予選を見ていた。
「皆、ウマ過ぎるよね」と折越が言うと、

「うん」
とステージを真っ直ぐ見ながら、由梨は答えた。

由梨も緊張していた様だ。
その時、後ろから由梨を呼ぶ声が聞こえた。
「渡辺さん」

「はい、えっ?」
そこに居たのは、唯ちゃんのお母さんだった。

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