BAND(仮)
演奏が始まった。
大体一番最初に演奏するのはここに来て間もない奴等だ。
そして私は一番最後、シメを決めている。
目を瞑って演奏に集中する。
……やはりまだ未熟だ。
だが、ドラムはいい線をいってると思う。
こうやって私が彼等を評価するのには訳があった。
演奏を終えた奴等が
評価を聞きにくるからだ。
「あ あのっ…」
…こんな感じで。
「曲はいい線いってる、歌詞も深いし…
だけどもう少しベースとドラムのリズムあわせな」
これは当たり前なんだけど、どうやら私に言われると嬉しいらしい。
瞳をキラキラさせてありがとうございますっと言って去っていった。
…何だかんだ嬉しい…
オーナーに気付かれクスクス笑われたから
レモンジュースを一気のみした。