華と月
蓮の花
ポンポン ポンポン

小太鼓の音が、遠くから聞こえる。

葵たちは、六花街に降りた。

「凄いね、今日お祭りがあるの?」

葵が聞くと
「うん、今年はね
特別な蓮の花が咲く年
だからこうして祝ってる
んだ」
と、ハヤトが答えた。

「へぇ~私も見てみたい」

「じゃあ、後で見に行く?」
「いいの!?」
「ああ、とりあえず先に宿に行こう」
「はい」

そう言って、葵たちは宿へと向かった。

宿に着くと、店番が出迎えた。

「いらっしゃい
あんたたちツイてるね」
と、店番が言うと
「何か理由でも?」
と、ハヤトは聞いた。
「いや、ただのキャンセルさ」
と、店番は答えた。

「それより、べっぴんさんばかりで羨ましいよ」
と、店番はにやけながら
言った。

「ところで、部屋割はどうする?
大部屋は全部、うまってるよ」

と、そこへアゲハがやってきて
「何人部屋が空いてる?」と聞くと
「うちは、二人部屋だけ真向かいなら四人部屋が空いてるんじゃないか?」
と店番が言うと

アゲハは、真向かいの宿をちらりと見た後ハヤトに向き
「決まり、宿は別ってことで」

「お、おいっ!」

ハヤトの声を無視し、アゲハは葵のところへ行く。
「アオイ、ここの宿が二人部屋しか空いてないんだって
だから、私たちは真向かいの宿借りるから
ハヤトと一緒でもいい?」

「え?でも…」
「ああ、大丈夫よ
何かあればリリスに言ってね
直ぐ駆けつけるから
それに、私たちはこの街でちょっとお仕事するから、ハヤトに観光してもらってゆっくりしてて?」
アゲハは、葵にウィンクすると
「あ…分かりました」と答えた。

アゲハは、葵に「ありがとう助かるわ」と言って
ハヤトのところへ戻った。
「ハヤト、葵に観光地を案内してあげてね」

それだけ言うと、さっきの店番にハヤトと葵が泊まる宿にチェックインした。
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