誰よりも愛してくれなきゃ××



「じゃあちょっと聴いてみてよー」

「やぁーだ!ヒカリ今忙しいからムリーっ!」



慌てたり焦ったりすると、決まって返事が適当になるヒカリのことだ。



「あっれーぇ??買ったばりのグロスがなーいっ!!」



バタバタと家中を駆け回りながら返されても、ほんとに二人の行き先を知らないかは分からないんだよね。




「ヒカリちゃん冷たーい」


リビングのイスに普段座る方向とは正反対に股がっている俺は、マグカップを持つ腕をイスの背に乗せながら、頬を膨らませるフリをする。



…少し子どもっぽい方が、娘達と距離なく接することができる気がするんだ。


母親がいない分、俺が心の拠り所になんなきゃって。




「あぁ!パパパパっ!そこの…机の上にある携帯とってー!!」




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