改訂版・時間よ、止まれ。
「俺解〜けたっ!ちょっと休憩!」
「え?うそ?早い!!」
小一時間経って、優祐は早々と問題を解き終わったみたいだけど、私はやっと8割方できたところ。
この最後の方の応用問題とか、教科書見ないと解けないよ〜〜っ!
「は〜っ!この一杯!生き返るなぁ」
「ただの麦茶じゃない」
「夏は麦茶だろー」
「どうでもいいけど、本気で分かんない〜〜!」
「あーもう!どこだよ?ちょっと見せてみろよ」
「あっ」
急に持ってた問題集を優祐に取られた。
色々書きこんでいる様子から、私のできない問題がすぐに分かったらしい。
「この問題だろ?どこの単元かぐらいは分かるよな?とりあえず教科書……」
…と、優祐が机に問題集を置いた時に、私の手と優祐の手がぶつかった。
「あっ、ごめん…」
いきなり手に温かいものが触れて、驚いて、そして静かになっていた鼓動が再びドキドキと音を上げ始めた。
「いや、俺こそ……」
不意に優祐と目が合ってしまい、ますますドキドキが速まっていく。
「…さおり?」
ドキドキを抑えようと、私は自然に下を向いていた。
そんな私を心配してか、優祐は私の顔をのぞきこんできた。
「優祐……」
さっきよりも二人の距離が近付いている。
ドキドキも止まってくれない。
だけど…
勉強を始める前よりも、緊張してない気がする。
ただ純粋に、もっと優祐に近付きたいと思った。
好きだから……
好きだから……