禁断の恋はじめます
おばあちゃんの形見分けをするのに
親戚のおばさんの家に泊まった。

私はすぐに眠くなってそうそうに
布団に入って眠ってしまった。

話声で目が覚めた。
ふすまをはさんで隣の部屋で
まだ電気がついていて

ママがまだ隣に寝てなかったから
起きているんだと思った。



「あんた…あの子に
いつ本当のこと言うの?
そろそろ知られるでしょう?
いくら隠してたって…大学行くなにする
今まであんたがひた隠ししてたけど
そんなわけにいかなくなるよ。」


「うん。それはずっとパパとも
考えてるけど…。あの子が私たちの養子だって
気づいても話せばわかってくれると思う
だけど…どうして養子になったのか
あの子が知りたがったら…
もっと詳しく知りたがったら…
なんて言ったらいいんだろうって
毎晩考えても答えがでない。」



「だからかあさんは心配したんだよ。
他の兄弟は世間体とかあの男の子供だとか
そんなことを言ってるけど
かあさんはその日のことを考えて
反対していたんだよ。
きっと心残りだと思うよ……。」




「わかってる…。でもあの時
啓吾を施設にやることはできなかった。
啓吾を残して無念に死んだ祥子が
私にお願いって…言い続けて……。
友之だって…非情な殺人犯じゃない……。
あの二人がどんにに愛し合って啓吾を
授かって喜んでいたのか
私には…わかってる…。
友之は…そんな人間じゃなかった……。
だから出頭するまえに私に連絡をくれて
祥子の自殺を知って
自分も後を追うように命を絶った……。
私はそれを守ってあげたかった……。
それが啓吾なんだもん……。」


母の声は泣き声になった。


啓吾の両親にも
深いわけがある……。


そしてその啓吾を育ててきた
両親を私は尊敬した。
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