禁断の恋はじめます
それからしばらくして
夕方に祥子から電話があった。


「あのね…ごめんね…。
今夜泊まりに行ってもいい?」
祥子の少し震えた声に
睦は信也と車で迎えに行った。

実家では兄家族もいて
祥子は肩身の狭い思いをしていたから
またきっと何かあったのかな
くらいにしか考えていなかった。



家についても祥子は何も言わずに
啓吾を抱きしめて歌を歌っていた。


「信ちゃん~写真とってほしいな~」



「写真?」



「うん~ムッチから聞いたよ~
デジカメ新しいの買ったんでしょ?
啓吾の写真を友之に送りたいなって~~」



「あ!!そんなことならいつでも言ってよ~。」


祥子がいつものように
落ち着いているから睦も信也も安心して
何枚も写真を撮った。


小さい啓吾の手が
張り出した睦の腹に触れている写真もとった。


「友之元気なの?」


「うん~元気だった。
もうすぐ三人で…生活できる…って…」



「そうなの~?よかったじゃん!!」

睦も信也もその言葉に大喜びだった。


祥子の笑顔と啓吾の写真を撮って
楽しい時間を過ごした。


朝方 啓吾の火のついたような
泣き声で飛び起きて
部屋に行くと 祥子の姿はなかった。


布団には手足をばたつかせて
狂ったように泣く啓吾と
手紙と写真が一枚残されていた。

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