禁断の恋はじめます
何度も何度も 書き置きを読みかえして
ありがとうと言った。


そして俺は
17年間 愛で守られた結界から
外に出て行く。


雨混じりの雪でまっくろに雪が溶けている。
これからの俺の人生のように
汚れた色をしている。


「今年は春が早そうだな。」


俺は玄関を出た時から
絶対に振り返らないと誓った。
振り返ったら決心が揺らぐから。


でもこれ以上
巻き込むことはできないから……



ここにいた啓吾を覚えてて…
俺はみんなの思い出の中だけで
生きて行きたいから…。


また会えるなんて嘘だ。
胸を張って生きていく未来は
俺にはなかったけど
そう書かないと 


親不孝過ぎると思った。


「ありがとう・・・・・。
さよなら…池端啓吾……。」




真っ赤な車が停まって窓が開いた。


「乗って……。」


これから何が待ってるか
わからないけれど
もうここを頼るしか道はなかった。


「やっと…戻ってきた…。」
前田という女はそう言って笑った。
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