禁断の恋はじめます
陽の当たる場所
私はその折れそうな腰に
腕をまわした。


「仕事だから
離せ……。」



「やだ…。」

私の知っている啓吾は
細かったけれどもっともっと
がっちりとしていた。
今の啓吾は 私が力を入れると
折れてしまいそうだった。


「食欲…ないの?
痩せて……。」



「別に……。」




「苦しいんでしょ?」




「俺…ヤバイ病気なのか?」



私は言葉に詰まった。

「私は詳しくは聞いてない
個人情報だから……。
だけど先生が 検査した方が
いいって言うから
お願い…検査受けて……。」



「死ぬ病気だったらいいな…。
そしたら…
こんなクソな人生にピリオドだ。」



啓吾は私を振り払って
店の中に消えて行った。


腕の中に感触が残っていた


「ごめんね勇樹……。」

私の心の中はもう決まった。


「啓吾を奪い返す。」


陽のあたる場所で輝いていた
あの頃の啓吾のように……
暗闇から陽のあたる場所へ…

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