禁断の恋はじめます
家に戻ると

ママがバタバタ走り回っていた。


「あ…朱奈~
おばあちゃんが…危篤だって…
すぐ行かなくちゃ……
あんたたちは明日の授業受けて
それから二人で来れるよね?
パパとママ先に行くから……」


啓吾がリビングから出てきて


「大丈夫だよ。
それより早く用意してさ…」


パニックになってるママを
啓吾が落ち着かせている。


「もう…ダメだと思うから
その覚悟で来てね。
あんたたちのパジャマとか
下着とかも持って行くから
二泊分用意してきて……」


ママの目から
涙がこぼれ出した。


「パパ…ママが泣いてるよ…」


慌てて用意を手伝っている
パパに声をかえた。


パパはママの肩を抱いて
「焦るな…きっと待っててくれるよ。」


そう言って
ママを包み込むようにして
抱きしめた。


私はそれを見て

二人の子供で生まれてよかった

そうあらためて思った。


「朱奈、早く用意して」

啓吾が私の腕を掴んで
階段を駆け上がった。


「急げ!!!」


「うん!!!」



私たちの荷物を車に詰めて
両親は出発していった。


「あ・・・雪だ・・・・」


その日 初雪が降った・・・・。
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