弱く儚いモノ達へ





不気味に聞こえる波の音。
岩にもたれかかり頭を抱えている信五。
   


「…ハァ…ハァ…やめろ…やめてくれ。」


青冷めていく顔色。
荒い呼吸。
  

「この身体は俺のもんや。そうやろう?お前には無理や。」 


乱暴な口調。
濁った瞳。
顔つきが変わる信五。
   


「…ちゃう…これは…僕の身体や…。」



瞳の色が戻る。
  

「無理や。お前はまた逃げるねん。あの時のように。」


再び瞳の色が濁る。
   


「…に…逃げひん…。今度は逃げひん。」



ポケットからナイフを取り出すと左手首へと切りつける。
   


「…ハァ…ハァ…ハァ…。」



手首から滲み出る血。
呼吸が落ち着いていく。
瞳の色が戻っていく。





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