光と闇
あとで見つかったのは青年の焼死体と、的が外れた鞭の痛々しい跡。
だが、奴隷は奴隷。一人失っても代えがきく駒。

奴隷の人々は顔を手で覆った。
勇敢な青年が死んだことを悔いた。あのとき自分が動いていれば、もしかしたら変わったかもしれない。だが、恐怖に勝てないのも人故。だからこそ、青年は動いたのだった。
青年の痛みを人々が感じてしまう。想像をせざるを得ない。
鞭で意識を朦朧とさせられるまで打ち付けられ、それでも尚男の気は晴れずに燃やした。意識が薄い中で足が痛くて痛くて仕方がない。叫ぼうとしても声が出ない。
やがて炎は体に燃え移り、内臓を焼き尽くし、顔を――・・・

そして、この事件は人々の心に感情を引き戻した。

このあと、光の国の中で大きな戦争が起こった。
奴隷身分の人々と後継者親族による争いであった―――。
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