倦怠期物語

②町子さん

待ち合わせの場所は渋谷に決めた。

「誰かに見られるのが怖いから人が多いところがいいわ」

町子さんに言われ、それもそうだと思った。
妻の勤務先の病院は東中野なので、その点、俺も渋谷が好都合だった。

日曜日、夕方の6時。
久しぶりの渋谷は相変わらず人が多い。
冬の寒さを忘れるほどの熱気。

JRの改札出口なんて、こんな場所で待ち合わせるんじゃなかった。
大学生やら専門学生やら、10代後半から20代にかけての若人で溢れ返っている。
ジーンズにダウンジャンパーの軽装で良かった。コートなんか着てきてたら、それこそ場違い親父になってた。

町子さんの目印はパープルのブルゾン。
人ごみの中から、柱にもたれる紫色の上着が見えた。

あの人だろうか。

近づいて会釈をする。

「すいません・・・えーと、町子さん・・・?」

「はい。直太郎さん・・・?」


俺は返事をすることも忘れていた。

うそだろっ。

実際の町子さんは、サイトに掲載されていた写真とはまったくの別人だった。
< 22 / 22 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

4月の白い砂浜で
ごま/著

総文字数/4,163

恋愛(その他)13ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
陽ちゃん、こんにちは。 ご無沙汰しています。 メールじゃなくて、 こうした手紙が届いたことに 違和感を感じてるかもしれないね。 あたしも普通の便箋に手書きで書くなんて ずいぶん久しぶり。 だめだね。 字って、書いてないとどんどん下手になる。 この手紙が陽ちゃんに届く頃には あたしはもう、この世にはいないの。 驚かせてごめん。 でもほんとのこと。 あたしの最後の告白を聞いてくれるかな。
扉の向こうのパラダイス
ごま/著

総文字数/24,233

恋愛(その他)58ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
やっぱり俺は ゲイなのか... 
あなたが一番欲しかった言葉
ごま/著

総文字数/70,011

恋愛(その他)230ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
過去は過去 同じ時間は2度とは戻ってこない あの頃に戻り もう一度すべてをやり直すことができたとしたら・・・ それでも 同じ結果が待っているような気がする ピリオドを打てなかった 長い長い青春が今終わった ケータイ小説大賞に応募してます。 清きワンクリックをどうぞよろしく!

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop