トリップ

「はぁぁ・・・」
「どしたの?」
「いや、うちの学校の文化祭は、シナリオは教師がきめるっぽい」
「ああ、そっか。キリちゃん、小説作るの好きやもんね」

うんうん、と何度も首を垂らすようにしてうなづく。始業式のときに貰った文化祭についての紙のことを思い出す。

「エリカちゃんら、文化祭何やる?」
「うーん、うちはまだ決めてないなぁ」
「バンドとか似合いそうやけどな」
「そう?」
「あとは・・・映画で告白される女子の役」
「告白って、あんまり好かれんよ、うち」
「モテるって。屋上に呼び出されて『好きだ』って言われとりそう」
「まさか」

エリカが全力否定するのが分かったからか、キャプテンは思う。
―エリカちゃん、やっぱり好きな奴が・・・。
いるのか?そう聞きたくても、彼女は恥ずかしがりなので、否定されてしまうだろう。

「うちが男やったら即効で告白するな。いや、今でも出来る」
「え゛?それは、ちょっと・・・」
「冗談冗談。許して」

いや、彼女が受け入れてくれるならそうしたかも、とキャプテンは思う。
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