トリップ

「金がもらえないんじゃ仕方ないだろ。本職もダメになったし、ヤケなんだよ」

呆れたようにサラリーマン風の男が言う。

「だから、あの学校の生徒、1年生から出席番号順に拉致して、殺そうと思ってな」

ドクン、と心臓が跳ねる。なんて非常識で、狂ってるとしか思えない。
猟奇殺人の類に入るぞ、と思う。震える唇を必死に動かす。

「殺しても・・・・金にならないじゃないか」
「バカだな。ちょっと眠らせて首を切るだけだ。内臓を取り出したり、キレイな肌を外国に売るんだよ。臓器売買って奴だ」

本当に腐っている、と改めて感じた。自分は残酷だと思っていたが、さらに上回る奴もいるんだな。

「まさか・・・そのために皆殺しにするのか?紅涙の生徒を・・・」
「出来れば。こっそりと時間をかけてな。一ヶ月に1人って所か」

いつも冷静沈着な俺がひどく焦っていた。
1年生から順番に、という言葉が頭に響き渡る。1年生から連想して当たる人物のことを考えると、呼吸のリズムが乱れそうになった。

殺される。

その言葉が、初めてリアルに感じた。


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