トリップ
ちょっと待てよ。何でこんなにも緊張しなきゃならないんだ。
「聞いてんの?」
「あ・・・ああ」
ハッとして返事を返すと、次にジュマの声が聞こえてきた。やっとか、と思う。
「とにかく、今いるところを教えてください。行きますから」
「来てほしいのか、そうでないのか・・・」
「頼みます!秋乃さんくらいしか力になれないけど・・・」
その次の声を聞くと、俺は「あれ?」と思う。女の子の声だったからだ。
「助けさせてください!」
心臓がフワリとした布に包まれたような感覚に陥った。止まっていた大量の鳥が一気に飛び立ったような・・・そんな感覚だ。
「モト・・・ジマ」
ポツリと呟いていた。何故彼女が俺が仕事だという事を知っていたのだろう?
「何で・・・」
「通路の辺りで、怖い人が載った書類見たからもしかしてって・・・」
「・・・余計な事を」
舌打ちしてやると、モトジマは何も言ってこなくなった。さすがに言いすぎたか、と思って「すまん」と呟くように言う。