嘘で作られたほんとの恋
「お疲れ様でした!!ありがとうございました」
グラウンドの淵に並びあいさつし終わると、鈴木奈津実(スズキナツミ)があたしのほうへと向かってきた。
「ちょっと、優香!!あんた今日サッカー部のほうばっか見てたでしょ!!
翔太のこと見たいのは分からんでもないけど、中学校生活最後の大会がもうすぐなんだから!!気合入れてよ!!」
「ちょっ!!奈津実!声でかいよ!誰かに聞こえちゃう」
「あんたがわるいんでしょ!!」
「ぅっ...ご、ごめんなさい」
「分かればいいのよ」
そう言い残すと、奈津実は用事があるから先帰ると言い残し、行ってしまった。
確かに最近、部活に打ち込めていない気がする。
理由は他でもない。
サッカー部の練習がテニス部の隣で行われているからだ。
ここまで近いと、嫌でも自分の視界の中に竹内翔太(タケウチショウタ)が入ってしまう。