気付いてよ

「しないよ。私は朋の幼馴染み以上にも以下にもなれないんだよ。」

自嘲気味に言った私に、大倉くんが言った。

「そんなの分かんないだろ。」

気休めでもそう言ってもらえると嬉しかった。

けど。

「分かるよ。ずっと近くで見てきたんだもん。」

それに本当は怖い、そう続けたかったけど、大倉くんはとっくに見抜いてそうだから、敢えて虚勢を張って言わなかった。

臆病な自分を認めるのはもう少し後にしたい。

「そんなことない気がするけど…。まぁ伝える気がないなら僕には好都合かな。」

次に言われた言葉は始めの方は何て言ったのか声が小さくて解らなかった。
だけど、大倉くんにとっては私が告白しないことが好都合らしい。

そしてさっきみたいに満面の笑みで大倉くんが私に言う。

「まだ僕のことよく知らないと思うし、試しに付き合ってみない？返事はそれから考えてよ。」

少しは気も紛れるんじゃない？そう付け加えて大倉くんは笑った。