花には水を
彼女は怖がっていた。
とても怯えていた。
かなしそうに苦しそうに息を乱して。
俺から離れようと何度も何度も…。
そんな彼女を離したくなくて、俺が彼女の不安を消したくて。
訳を話して欲しくて。
でも、それは結局俺の傲慢だったって事に気付くのはその何日も先。
「離して!!」
彼女の悲鳴に近い声。
拒絶の言葉を口にする。
何で?
そう考えた瞬間に彼女は俺の腕からすり抜けて行くとそのまま行ってしまった。
追いかける事が出来なかった俺はなんてバカなんだろう。
ただ、ふりほどかれた手が、腕が力なく垂れ下がったのを感じた。