ツンデレ美女の恋愛事情~新・素敵すぎる上司~
私が洗面所で顔を洗い、歯を磨いていたら、バスルームのドアがスーッと横に開いた。

何気なくそちらを見たら、裸の慎司さんをもろに見てしまった。
裸と言っても、パンツは履いてたみたいだけど。

驚いた弾みで歯磨き粉を飲んでしまい、私がゲホゲホしてたら、「大丈夫か?」と言いながら慎司さんが背中をさすってくれた。

一瞬だったけど、私が見た慎司さんの裸の胸は、引き締まって逞しく筋肉が付いていた。

私は水で口をすすぎ、「もう、脅かすから、歯磨き粉飲んじゃったじゃない…」

「ごめん」

「さっきお父様にお会いしたの」

「ふーん」

「『慎司をよろしく』って言われちゃった」

「親父がそんな事言ったのか?」

「うん、しかも優しいお顔で」

「へえー、嘘みたいだな」

「本当よ。嬉しい反面、申し訳なく思ったわ。私達、すごく悪い事をしてると思う…」

「………」

慎司さんは何も言ってくれない。どんな顔をしているのか見てみたいけど、慎司さんは裸だから振り返る事ができない。

少しして、慎司さんは私の頭をグシャグシャっとやり、無言のまま行ってしまった。

私の口からは、ハァーと溜息が漏れていた。
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