夜中散歩
最後のお客さんの見送りが終わり、店には嵐の後のような静けさが待っていた。
そしていつものように、由梨が言い始めるんだ。
「今日、これから飯食い行く人ー?」

待ちわびたかのように女の子がほとんど手を挙げる。
その中に、見慣れない子が居るのが分かった。
近くに居る女の子に声をかける。
「ねぇ、あの子誰?」
「昨日入ってきた子ですよ、真希は初めて会うんじゃない?」
「うん」と頷いて、その女の子を見た。
みんな手を挙げているのに、一人だけ挙げていない。
気遣ってるのかな。
っていうか久しぶりの新人じゃん。
その子の近くへ行って声をかける私。
「新人さんですか?」
着替えていた彼女に声をかけると慌てたように服で体を隠した。

「真希さん!」
思った以上に大きい反応に「うん、真希さんです」と言うしかない私。
「昨日お店に入ってきた凛華っていいます」
凛華。なんでこんな声が高いんだ。
「何歳?」
「えっと、18です・・・」
そう聞いて、店長を見た。
「嘘、本当の年言ってみな」
強い目で見ると、消え入りそうな声で「17です・・・」と言った。
同い年・・・か、1個上か。
頭を押さえる私に「すいません」と何度も謝る凛華。

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