夜中散歩
『ただいま』
家へと帰ってくると、歩く踏み場もないほど部屋は散らかっていた。
そこに埋もれるように寝そべる母。
『お母さん』と声をかけてみても返事はなくて。
また酒呑んで熟睡でもしているんだろう、と近くからゴミ袋を持ってくる。
そしていつものように、酒の空き缶や食べ終わったお弁当などを捨てるんだ。
ほとんどのゴミが片付いた頃。
ガサガサと音を立てて母が起き上がった。
『満月、帰ってきたの』
『うん』と頷いて、母を見る。
『なんか買ってきなさい、お金あげるから』
財布から出す、1000円札。
そろそろお金が尽きる頃じゃないのか、と不安になる。
そんな私を察したのか『大丈夫』と声をかけてくれた。
お金を渡されて外へ出たはいいものの、肝心のお腹が減っていない。
バッグの中にはこんな風に渡されたお金が何円も貯まっている。
一人暮らしをするときの為に貯めておいたお金。
そして近所の回転寿司屋へ行く。
1000円以内におさまるように食べて、家へ帰った。
家へ入ると、黒い靴が置いてあった。
耳を澄ませばテレビの部屋から男の笑い声が聞こえた。
いつもの人と違う・・・
そう思いつつ、階段を上がろうとする。
『あ、満月』
声をかけられ足が止まった。
お母さんがお酒の缶を持ったまま、私のほうへと歩いてくる。
少し離れていても分かるほどのお酒の匂い。
『この子、あたしの子供』
肩を掴まれる。
『へぇ、お前に似て目が大きいな』
薄黒い顔で笑う、その人。
煙草でも吸っているのか歯がヤニだらけだ。
『あっち行ってなさい』
そう言われて二階へ上がる。
家へと帰ってくると、歩く踏み場もないほど部屋は散らかっていた。
そこに埋もれるように寝そべる母。
『お母さん』と声をかけてみても返事はなくて。
また酒呑んで熟睡でもしているんだろう、と近くからゴミ袋を持ってくる。
そしていつものように、酒の空き缶や食べ終わったお弁当などを捨てるんだ。
ほとんどのゴミが片付いた頃。
ガサガサと音を立てて母が起き上がった。
『満月、帰ってきたの』
『うん』と頷いて、母を見る。
『なんか買ってきなさい、お金あげるから』
財布から出す、1000円札。
そろそろお金が尽きる頃じゃないのか、と不安になる。
そんな私を察したのか『大丈夫』と声をかけてくれた。
お金を渡されて外へ出たはいいものの、肝心のお腹が減っていない。
バッグの中にはこんな風に渡されたお金が何円も貯まっている。
一人暮らしをするときの為に貯めておいたお金。
そして近所の回転寿司屋へ行く。
1000円以内におさまるように食べて、家へ帰った。
家へ入ると、黒い靴が置いてあった。
耳を澄ませばテレビの部屋から男の笑い声が聞こえた。
いつもの人と違う・・・
そう思いつつ、階段を上がろうとする。
『あ、満月』
声をかけられ足が止まった。
お母さんがお酒の缶を持ったまま、私のほうへと歩いてくる。
少し離れていても分かるほどのお酒の匂い。
『この子、あたしの子供』
肩を掴まれる。
『へぇ、お前に似て目が大きいな』
薄黒い顔で笑う、その人。
煙草でも吸っているのか歯がヤニだらけだ。
『あっち行ってなさい』
そう言われて二階へ上がる。