もてる恋
屋上に呼び出された。


「なんでしょう!」


「私、本村葉月って言うんだけど、


相田さんって、稲田と付き合ってんの?」


知ってる──。


遥ちゃんが言ってた、学年のマドンナ。


やっぱりかわいい。


「はい、一応。」


「マジ?」


「マジ!」


バンっ。


屋上なのに音が大きい。


「調子のんなよ?」


周りには下っ端みたいな人が5人ほどいて、


本村さんの手は


私の耳の横スレスレをとおっている。


怖い。怖い。


「私だって断られてんだよ!?」


『知るか、』なんて思った。


言葉が出ない。


ただただ怖い。


「こんなフツーの女が!」


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