Kiss★恐怖症
甘いKissは心を溶かす
―――――――…
―――――


結局、無理矢理乗せられてしまった私。


「星蘭見てみろよ!どんどん上がってくぜ」


なんて、窓に手を当ててまるで子どもみたいに無邪気な直樹。


怖くて風景を見れない私は、肩を狭めて下を向いている。


いや、向くしかない。


そして、無言。


さすがにこんな状態の私に気付いたのか。


「星蘭?」


窓から視線は私に移し、心配そうな声で話しかけてくれた。


でも。


前を向くと、直樹の後ろの風景が見えてしまう。


だから下から視線を外すことができない。


「あのね…」


「観覧車嫌いだったか?」


「違う。私ね…高いところが苦手なの…」

「…」


私が言い終わって、何か言ってくれるかと思っていたけど。


無言の直樹。


前を向けないから直樹の表情がわからない。


心配してくれてるの?


それとも。


呆れた…のかな…?


色々な表情の直樹の顔が、頭の中で繰り返されるだけ。




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