JUNKETU ~首筋にkissの花~
「ぁ!俺、教室帰るし…」


「そうですね。随分長く引き留めてしまいましたね、すいませんでした。」



紳士的にドアを開けて俺を見送るアルは最後に小さく囁いた事に俺は気付かない。




「私は監視するモノです…よ。見ています、ずっとね」






ハルの居なくなったヘヤでアルは熱い紅茶をいとも涼しげな顔で啜る…



あの方も随分と酷な事を考えるものだ、と手元のファイルに目を通しながら思った。


まだ年端かもいかない少年に…………


彼は時が来たときにどちらを選ぶのだろうか



ファイルに貼られた二枚の写真にはそれぞれに違う人物が写っている。



黒髪でキラキラした笑顔の少女と、金色の髪がよく似合う赤い目の美女。



「私ならコチラですかねぇ、実に見事な芸術品だ」


一枚の写真を指でなぞり、ハァと溜め息をつく




「君が他人のモノでなければ、私は君に永遠の美を与え、永久に生きていけるのに…」



パタリと閉じられたファイルには《語学学習資料》と偽物のタイトルが貼られていた。


アルはソレを棚に差し込むとカーテンの隙間から階下を見る。




「若き…幼い後継者、か」


視線の先には駆けていくハルの姿があった。




全てがウソではないけど、全てが本当ではない。真実は自分で探し知る事が大切なのだ…




アルの溜め息が紅茶の湯気に溶けて消える。



『現在状況、進展ナシ』


赤いインクをペン先浸して走らせた紙《報告書》にアルのサインの最後のピリオドが打たれると報告書はまるで最初から無い物だったかのように消えた…



少し手を貸してあげるよ…ハル。だけどコノ貸しは少々高く着くけどね?


純血の後継者として仲良くしよう。ただ、いつまで仲良しかは分からないけどね…


私にはどうしても欲しいモノがあるのだから――
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