JUNKETU ~首筋にkissの花~

「ハル…困った事になった」



帰宅した俺が一番最初に聞かされた言葉だ。



モヤモヤしながら帰宅して玄関を開けると、オヤジが携帯片手に話している最中だった。

何故か玄関ホールの端に三角座りをしていて、デカイ体を何かから隠すごとく小さく小さく縮んでいる。


電話中だったのであえて声もかけずに素通りをしようとすると



「うをっ」



オヤジは片手を伸ばして俺のズボンを掴んで首を左右に振った。


そして、携帯を片手で押さえながら



「事を説明するから俺の書斎に居てくれ」


と言葉を繋げる。



「わかった…」



いつもより真剣な様子のオヤジに何か良くない事があった事は理解したが…



「トウマさーん!パスポートって…あったぁ」




緊迫した空気を打ち砕くジュンの気の抜けた声が聞こえた。



リビングの方から聞こえてくるジュンの声

書斎に行く前に一応挨拶だけはする事にして、リビングのドアを開けると



「ぇっあっ、キャッ!」


「あ、ぶねぇなぁ…」



踏み台から足を踏み外したジュンを間一髪で抱えた。



「ぁ、ハル君だ。お帰り…」



スッポリと俺の腕の中に納まっているジュンは二冊のパスポートを大事そうに胸に抱えている。




「何やってんだよ…」


「パスポートをね、探してたんだけど…なんかね変なの」


「変って?」


「コレコレ!トウマさんのハズなんだけど…」




開かれたパスポートの写真のオヤジを指差して



「コレ、いつの写真だろいね?」


「イツの…って?」




パスポートを眺めながら首を傾げる



写真のオヤジは今のオヤジより幾分老けて見える。

皺が深かった、少し肌のハリがないのか疲れた顔をしていた。


徹夜明けの撮影だった…のかもしれない



深くは考えない様にした



「まぁ、見つかったんだから良かったじゃん」




眉を寄せながらジュンは唸るような返事をした



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