JUNKETU ~首筋にkissの花~
泣きじゃくるミツを置き去りにして俺は帰る事にした。

教室ではなく、家に…



ガラッ―



無言のまま教室を出ようとすると



「ハルッ、ミツを捨てないで…」



引き剥がされたミツの手が空を掴んで、膝に落ちる。



「捨てるもなにも、俺等には何もナイじゃん」


「そんな…」


「何回か交わったダケだろ?そんなにシタイならちゃんとカレシ作れよ。ソレを俺に求めるな」




クッと息を飲んで、ミツは言葉を飲み込んだ。



「ミツ…、俺はミツを友達だと思っても彼女とは思ってない。コレはこれから先も変わらないから」


「絶対?」


「うん」


「ミツがミツじゃなくなっても?」


「そんな仮説をたてるなよ、アルワケないだろ?ミツがミツじゃなくなるなんて」


「……だよ、ね?ごめん」



それから暫く沈黙が続いた。

先に沈黙を破ったのはミツの方だった。




「ミツ、諦めないもん。絶対にハルの彼女になるんだもん」



立ち上がりスカートを叩いてから、



「諦めないもん!」



そう言ってから駆け足で行ってしまうのをハルは黙って見ていた。




ミツの目…
赤く染まった目に宿るのは《怨み》の念。

向けられているのは
ハルではなく
――《ジュン》だ。



ミツ自身、自分が何故こんなにもジュンに嫌悪感を感じるのか分からない。



身体ではなくハルのもっと深い部分がジュンを惹き付けている。

ソレが自分にナイ事がイヤなのだろうか?




まだ、ミツが知っている事をハルは知らない。


《ハルの正体》

ソレさへもミツは愛して、受け入れていた。



吸血鬼に堕ちた女達
自ら堕ちる事を望んだ女達


古来の吸血鬼に恋して吸血鬼になった女達は、人としてのプライドを捨てた

ハルにしがみつくミツは正にソレだろう。




ハルと同じになればハルが自分を愛してくれる…


それには―――



「アイツは邪魔…だ」
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