ゴスロリ彼女のキスの味


 幹線道路沿いで公共機関やクリニック関連の看板が目立つ通り。


 5、6階程度の雑居ビルが軒を連ねる谷間に、3階建ての木造建築は異質だった。


 和洋の様式が混じり合った灰色の板張り、建物の真ん中の入口を軸にして左右に窓を配したシンメトリーな構造。


 ゼロの家と質こそ違うが、周りを寄せ付けない威圧感は同じ。


 玄関のドアの傍らに丸いプラスチックの古風なボタンが備えられている。


 押すとビィ~という不快なブザー音が鳴った。


 玄関のドアが開く前に、ガシャガシャと重い物がぶつかる音がした。

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