ゴスロリ彼女のキスの味


 男に無理やり抱かれる女の人の気持ちがわかったような気がした。


 2・3回首を左右に振って抵抗を試みると、倉吉の両手がおれの顔を挟む。


 キスくらいでビクビクするなと自分に言い聞かせたが、心の同意がない相手と唇が重なるだけの行為がこれほど嫌な気持ちになるとは思わなかった。


 倉吉の唇が差し迫ったとき、「二人でなにしてるの?」という驚き混じりに尋ねてくるゼロの声が飛んできた。


 さっきのおれの大声と古時計の鐘の音で、ゼロは最悪のタイミングで目覚めてしまったようだ。


 ゼロが起きていたことを知っていた倉吉はおれにウインクをする。

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