ゴスロリ彼女のキスの味


「おれ菅原。それでこいつは野田」

 おれがキョトンした顔をしていたからなのか、先に自己紹介をしてくれた。


 菅原と名乗ったほうは背が高くヒョロとして線が細い印象を受け、隣の野田は背が低く、丸顔でメガネをかけている。


「おれは田中」

 名前だけを言って、相手の出方を待つ。


「あのさ、昨日蜜姫と話してたろ?」

 菅原が囁くように尋ねる。


「それがどうかしたのか?」

 2日目にしてやっと男子に声をかけてもらったのに、菅原の言葉に刺を感じ、おれは素っ気なく訊き返す。

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