学園(姫)
「しょうがない奴じゃ」

龍先輩が笑ってくれる事により、アンチエイジングを得られるだろう。

「仲がいいですね」

いつの間に帰ってきていたのか。

渚さんが買い物袋を持って、微笑ましく俺たちの様子を見ている。

「す、すみませぬ」

「ぐえ!」

龍先輩が急に立ち上がった事で、床に頭を打ち付けた。

「いてえ」

「す、すまぬ」

「あらあら、そのままでも良かったんですよ」

「そういうわけにもいきませぬ」

俺の頭を撫でながらも、起こしてくれた。

介護されている老人のように思えてくる。

「じゃあ、ワラワはこれで帰るぞえ」

「え?もう帰るの?」

「時間も時間なのでな」

時計を見ると、17時である。

そういえば、渚さんも夕方頃には帰ってくると言っていた。

「じゃあ、そこまで送るよ」

「そこまでそなたに迷惑をかけるわけには」

「まあ、さっきも言ったじゃないか。傍にいたいってさ」

俺は用意して、龍先輩を送る準備を整えた。

「じゃあ、行こうか」

「すまぬな」

「謝られるのも悪くはないけど、やっぱ笑顔がいいね」

家から出ると、すっかり夕焼けの色に染まっていた。
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