負けたくない。
「じゃあ・・・また今度紹介してもらうもん」

朔はにやりと笑った。
私は「うっ」と詰まったがNOとは言えなかった。



「綺麗・・・」

思わず呟いた。
私の目の前に桜の木があったからだ。


桜の花びらは、風に任せ、
くるくると踊っているように見えて、

こういう光景を見るのが

私の春の楽しみだったりする。


そして私の隣には、
短い間で随分仲良くなった、


朔がいる。


「綺麗だな」

私の言葉に遅れて返すように、朔が呟いた。



4月。

桜が舞い、春の雪が降る―――・・・
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