君だけを

それから、２人の距離は急速に開いていったんだ。

マンションの下で鉢合わせても、目も合わせない。

仲が良かった時期なんて、まるで無かったかのように。

中学に入ってから、佳奈は人が変わったかのように、明るく賑やかな女になった。

そして俺たちは、共通の友人を通して、また話すことができたんだ。

でも、佳奈は俺の友達に恋していた。

それを周りから聞いたとき、俺は初めて佳奈を好きなことに気がついた。

それからは、変に意識してたと思う。

どうにかして、仲良くなりたかった。

馬鹿みたいに、恋愛の相談相手になったりもした。

でも、何をしても、俺は佳奈の眼中に入ることができない。

辛くなった俺は、佳奈を諦めて、彼女の親友の告白を受け入れたんだ。