流星群


「以上でよろしいでしょうか」


「はい」と言って会計が出るのを待つ。
あ、財布取り出さないと。
そう目線を少し下へと変えた時に横から手が伸びてレジにお酒が数本置かれる。


「付け足しでこれも。あ、あとは煙草ください」


そんな言葉があたしの横から聞こえた。
ぱっと振り向くとさっきの倒れてた男。
でも定員はそんなこと気にも止めずにただその男の通りにお酒と煙草を付け足して会計を出した。


「お会計6575円になります」


その無気力な声ではっと我に返る。


「ちょっと何で…」


あたしの口から出た言葉は彼の言葉によって消された。
「あ、1万から。お釣りはいらないから」レジに1万円を置いて品物が詰まっているレジ袋を片手に持ってあたしの手を引いてコンビニから出る。


「ありがとうございましたー」




「はい、コーヒー」

「は?」

「だから缶コーヒー冷めない内に飲んどけって」


手に缶コーヒーを渡される。
ちなみにホットだ。
とりあえず開けて一口飲む。
男ももう一本のコーヒーを開けて飲んでいた。


「…何でついて来たの」

「んーだって行くとこないし」

「家帰ればいいじゃん」

「俺家ないし」

「…なんで」

「俺一応これでもホストだからさ、今まで客の家転々として来た訳。だから俺の家って決まってんのがなくてさー」

「じゃあ客の家行けば」

「それがさ、いろいろあってもう客の家に住むこと出来なくなって」


「だから今俺超ホームレス」あはっと笑って軽い口調でそう言った。


< 2 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop