流星群


***


「とてもお似合いですよ!」

「…はあ」


時は変わってデパート。
さっきまでセーターとスキニーだったあたしの格好は変わってスパンコールがちりばめられている黒のワンピースに黒のブーツ、そして白いふわふわのコートで綺麗に着飾られている。


今日はお昼前に桜の必要品を買いに行こうってことになったから外に出かけたんだけどいつの間にか桜の服よりもあたしの服選びになっている。


「じゃあ今着てる物全部買います」

「ありがとうございます、お会計は…」

「はい」


お店のレジの上には桜の手から出されたゴールドカード。
なんでそんな物持っているかだなんて疑問に思うけどだいたいは予想がつく。
お店の客からでも貰ったのだろう。
払ってからあたしの手を引きお店から出る。


「次何買おっかな」


…まだ買うつもりなのか。
いい加減疲れてきた。
元々服とか自分の物を人に付き合って貰って買ったことがない。


「ちょっと、桜」

「ん?」

「あたしの物はもういいよ」

「は?」


しかも桜が買った物といえば自分の服は今着ている黒のジーンズに白いシャツにジャケットというシンプルな組み合わせの一枚だけだ。


「え、雪、もしかしてその服気に入らねえの?」

「や、そういう訳じゃなくて。あたし服ならたくさん持ってるし今日の目的は桜の必要品を買いに来たんだから、桜が買わないでどうするの」

「…」


一気にそう言うと桜はきょとんとした表情であたしを見た。
あれ、あたし何か変なこと言ったっけ?


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