王子とカメ子
怖かったぁ…
ビックリした…
助けてくれた彼に
“ありがとうございます”
って言おうとしたら
その人は
急にパーカーを脱いだ。
「………!!」
私の声にならない悲鳴に
「ごめん!
急に脱いだらビックリするよな、ごめんな」
かなり慌てて言った。
「…でもさ、ボタン飛んじゃってて、前がガバッと開いちゃってるんだよね」
苦笑いして、パーカーを私にふんわり投げた。
「着ててよ。」
一瞬でも変なこと考えた自分が恥ずかしすぎて
コクコク頷いてすぐにそれを着た。
"キーンコーンカーンコーン"
あ、お昼休み終わっちゃった…
「…もぅ、午後の授業はサボっちゃおうね。」
そう言って
優しい笑顔を私に向ける。
その笑顔を見た瞬間
「…うぅ~…」
安心したのか
涙が出てきた。