傷だらけのヴィーナス



そして、あっという間に翌日の13時を迎えてしまった。

結局、小花柄のチュニックにジーンズ、チュニックの上にはニットのロングパーカーを羽織るという特段よそ行きな格好でもない格好になってしまった。

一晩考え込んだ割にこんな格好しかできない自分が情けない。


そんなことを考えながら窓の外を眺めていると、アパートの前に黒いセダンが止まったのが見えた。

中からは、いつもよりラフな感じにパーマがかった髪をセットしている間部主任が下りてくる。

その姿を確認した私は、急いで玄関を出た。



「こんにちは」

「こんにちは。さ、乗って?」

私は促され、助手席に乗り込んだ。



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