きいろい青空【完】


「直輝くんも行きましょう」



と、瞳が話し掛けると直輝は顔を上げた。




あ…メガネしてない。



どうしよう…



この、わからない気持ち。



からだの真ん中辺がギューッてなった。




あのコンタクトは、朝に優ちゃん(直輝のママ)から預かったものだ。

学校に行く前にちょうど会って。


メガネで行っちゃったから持って行ってと言われた。



でも、メガネであんなに人気出ていたから

コンタクトを持ってることは内緒にしていた。


けど…なんか嫌になったんだよ。

かっこいいとか…言われてるのとか。



だから、渡したんだ。



でもわからない。



かっこいいって言われてて、嫌になったり。


からだの真ん中辺がギューッてなったり…





直輝はベンチから降り、うちらのもとに来て


「行くか」


と言った。



静かに歩き出した3人。



直輝がうちだけに小声で



「ありがと」



とつぶやいた。



小さくうなずいたうち。



「次は、東京タワーだぁ!!てか、高所恐怖症なんだけど…どうしよう…」




マジでビビッて肩をすくめて小さくなっている直輝。


なんか笑える。



「ダメじゃんっ!てっぺんまで行くんだからね!?」



直輝の肩をベシベシ叩く。



「えぇー…ほんとに?」



恐る恐る聞いてくる。


本当に恐いんだなぁ~~!!



「アハハっ。ほんとだよぉ!!」




もう、さっきのことは忘れていた。


そして、本当に楽しい思い出になったよね。





直輝といたからだって

あとから気付いたんだ。




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