きいろい青空【完】



帰りのHRが終わっても、花恋と瞳は教室には帰って来なかった。


ふたりの机はぽっかりと空いている。




早退にされたんだろう。


でも、花恋の机に補助バックが残っていて不思議に思った。


補助バックが残っているということは、勝手に学校を帰ったのか?





俺は、ある程度見ていた友達に話を聞いた。



やっぱり俺も関係していた。


瞳と話をつけようとしたが、いないから明日言おう。


そう決めた。




廊下を歩き、部活に向かう。



「お願いします」




体育館に入り、偉そうにパイプ椅子に座っている顧問にあいさつをした。



バッシュの、キュッキュッという音が耳に響く。


それと、ボールの弾む音…



これらの音を聞くとなんだか落ち着く。




「おい、直輝。大丈夫か?顔色悪いぞ?」



「え?」



準備体操をしていたら、顧問が顔をのぞき込んできてそう言われた。




「大丈夫ですよ?」



「大会前だから、無理すんな。一応、保健室行って来い」




「は、はい。行って来ます…」



重い足取りで保健室に行く。



ガラガラガラっ---……。



中には誰もいなかった。



体温計を探し、脇に挟み計る。



ただじっと待ち、ピピッという音が保健室に響いた。




【37,5】と表示されている。



熱あるじゃん。


今日は良いことないなぁ~…



ひとつ溜め息を吐いて、保健室を出た。




「びっくりしたぁ~…」



目の前には颯さんが立っていた。




「どうも…」


小さくお辞儀をし、横を通り過ぎようとした。




「話があるんだけど、ちょっといいか?」



「いいですけどっ…」



予想外なことを言われ戸惑う。




あのチャラい颯さんが真剣な顔をしていると、逆に怖い。



「今日、花恋が暴れたらしいじゃん?」



廊下の壁に寄りかかり、話し始めた。



< 114 / 305 >

この作品をシェア

pagetop