きいろい青空【完】

直輝*




「えっ、なんだよ…これ」



チャイムが鳴り、体育館から教室に戻ってきた俺と英斗は驚愕した。




机とイスがぐちゃぐちゃに散乱しているのだ。


クラスのみんなで、ひとつひとつ直している。



教室には先生が4人もいるし。





何があったんだ?



机を直している美久に近寄り話し掛けた。





「美久。何があったの?」




「花恋がね、瞳ちゃんをはたいて暴れたらしいの……」




深刻な顔をして話す美久。


瞳という名前を聞いて、心臓が激しく波打つのを感じた。





「なんで?」



「いや、わたしも見てたわけじゃないから…よくわかんないんだよね」




花恋が…?


瞳を…-----?





「はーい、みんな。座ってください」



と、担任はいなく英語の先生が言い、みんなぞろぞろと席に座り始めた。



俺もよくわからないまま席に着く。




「この時間は読書になります」




やっぱり何があったか教えてくれない。


全く理解できない。



花恋が、瞳を…はたいた?



絶対に理由があったはずだ。



理由なしに花恋は人を傷つけるような奴じゃない。



絶対にそんなことは……




あっ…


もしかして、俺も何か関係しているのか?



瞳の告白とかで。



もし、それだったらごめんね。


花恋は全然悪くないよ。


俺と瞳との問題だから、巻き込んじゃってごめん…




俺がどうにかしなくちゃいけないのに。


情けなくて、腹が立つ。



読んでもいない本を、ただぺらぺらとめくっていた。







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