きいろい青空【完】
直輝*
「おはよー。みんな、夏休みはちゃんとできたか?」
と、笑顔で話す先生。
「も〜終わりかよ〜」
「早すぎだよ〜」
みんな、それぞれ先生に文句を言う。
ベタな始まり方で2学期が始まった。
結局、アザとメールの事はあれから触れなかった。
でも、花恋のアザは日に日に増えていた…
「はよぉー!!みんな、久しぶりっ」
花恋が笑顔で教室に入ってきた。
クラスの全員が注目する。
「おい、時計見てみろ!遅刻だぞ」
「さーせん。10分ぐらいだし、許してくださいよ~」
2学期初日から、遅刻って…
何してんだ。
花恋のヤツ。
ん?
なんだ、あの絆創膏は…
笑顔で先生の怒りをかわす、花恋のほっぺの下。
俺は嫌なことを想像してしまう…
-----颯さんの暴力が、顔にまで。
花恋は颯さんにやられたんじゃないって言い張るけど、颯さんだろう。
「まったく。先生、うるさいんね」
俺の隣の席にだるそうに座る花恋。
ほうずりをついてのんきな様子。
「花恋も遅刻とか…何してるんだよ…初日から」
「だってぇ~、ママが起こしてくれなかったんだもん」
不満そうに口をとがらせている。
こんな近くに花恋がいる----
今日。
この距離を手放すことになるなんて、わかるわけがない。
でも…
覚悟はできているんだ。