きいろい青空【完】




んで、結局…



その日の帰りに来ちゃったよ。



英斗の言ってたあの神社。





絶対に行かない。


意地でも行かない!!


と、思っていたのに…




何考えているんだ、俺。



とりあえず、お賽銭箱に10円を投げ入れる。


その時は何も願わずに…



つーか、来たって意味ないじゃん!


どうして英斗は俺にこの神社に来させたかったんだ?




少しの間、立ったまま考えたが答えは出ない。


わからないな…




寒いし、もういっか。


帰ろうと歩き出した時、不意に絵馬舎が目に入った。




なぜか、引き寄せられるように絵馬舎へと近づく。



そこにはたくさんの願いが掛けられている。


いろいろな思いで…





「あ……」



思わず、声がでた。




俺はひとつの絵馬を手に取る。



そこにはひとつの願いが…




【俺のわがままだってわかっています。でも、また前に戻れますように。あいつのとなりを、歩けますように】



と、書いてあった。



そして…いちばん下に雑な字で。



【颯】


と。



俺も、急いで神社の絵馬売場へ向かった。



補助バックになんとか入っていた1000札。



それを買うと、また小走りで戻り、筆箱からペンを取りだし書き出す。



キュッキュッという耳に痛い音。


そんな音なんか気にならない早さで、ペンを走らせた。




俺も願う。



【ふたりが仲直りしますように。ふたりが幸せになりますように】




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