きいろい青空【完】
直輝*
寒くて背中が丸くなる朝の登校。
教室に入るとみんな騒いでいて、俺はあいさつを交わしながら席に着く。
そんないつもと何も変わらない日。
今日も、いつものように時間が過ぎると思っていた。
そんなのこのときの俺が考えるはずもなくて…。
ピンポンパンポーン。
朝会の日でもないのに校内アナウンスが流れた。
『8時30分より、緊急に朝会を行います。生徒のみなさんは体育館へ集合してください。』
「はー!?なんだよ?」
「めんどくせぇ~な~」
みんな文句を言いながら、体育館へぞろぞろと向かう。
「緊急ってなんだろ?」
「さぁ?」
英斗も首を傾げながら、ふたりで体育館へ向かった。
クラスを並ばせている学級委員に従い、列に加わる。
「校長先生のお話です。校長先生お願いします」
司会を務める教頭の合図で、校長先生が壇上へ上がった。
その顔はとても真剣だった。
「静かにきいてください」
マイクを手に取り、話し始める。
「昨夜。--------」
辺りがしんと静まりかえった。
誰もが息をするのを忘れていた。
でも、俺は
「なぁ、今なんて言った?聞こえなかった」
隣の列の男に問いかける。
「きのう、事故ったんだって。楠木先輩が…」
「…は?」
なに、嘘言っちゃって。
そんなことありえないじゃん。
だって、きのう見たよ?
花恋と笑ってケーキを食べていた颯さんを。
「本当だって!ちゃんと聞いてろよ。まだ意識戻ってないらしいよ」
-----え?
“本当”なの…?