きいろい青空【完】



「え?なに?」


俺は最初、ふたりの考えが読み取れなかった。




「なにじゃねーよ。行かねぇのかよ?お前は」



「そうだよ!直輝、花恋を追いかけなくていいの?」




どうして俺を責めるんだ?


俺はもう、花恋じゃないのに…




「行くわけないじゃん。花恋のことなんか、どーでもいいし」



「あのなぁ…」



と、呆れながら言う英斗。





「行かないと最低だよっ!!」





俺と英斗はびっくりして硬直した。



あの美久が、怒声を上げたのだから。





「ケンカとか何とか知らないけど。女の子が辛い時、そばにいてあげない男は最低なの!わかるっ!?」




「そんなこと…わかっているけど」




うつむいてしまった俺。





「東第一病院だと。俺のチャリ貸してやっから。な?」




英斗は俺の肩を叩いた。





ふたりを見上げたら笑顔だった。




「大丈夫だから」



と、美久の声で安心し、その瞬間走りだした俺。




廊下を走り校舎を出る。



自転車置き場から英斗の自転車を引っ張りだし、こぎ出した。





東第一病院は、この街で一番大きい病院だ。



大きいというだけで不安がさらに膨らむ。




でも、絶対大丈夫だから。



どうせ颯さんのことだから。




と、いう言葉を唱え続けながら病院へ急ぐ。






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