きいろい青空【完】
直輝*
男の人と花恋が話している光景を見ていた。
そして、花恋はゆっくりと病室に入って行った。
大丈夫だろうか…
「ヤダヤダヤダっ!!!ひとりにする気なの??ねぇ、颯!!起きてよっ…ねぇ…っぁあ…」
突然、花恋の泣き叫ぶ声が聞こえてきた。
そして、俺は絶望した。
“颯さんが死んだ…?”
俺は息も出来ず、ただただ後ずさった。
「君は…」
俺の前には、さっきの花恋と話していた男の人が立っていた。
たくさんたくさん泣いたのだろう…
「僕は…花恋の…えっとぉ」
幼なじみとは言えなかった。
「友達でついてきたんです…」
「花恋ちゃんの近くにいてあげて?」
「は、は…い…」
俺は歩いて颯さんの病室に向かう。
でも、1歩1歩が怖くて…
え。
待ってよ…
本当に、死んじゃったの?
‘死’というものがわからない。
わかりたくもない…!
「花恋……」
病室に入る手前で立ち止まった。
颯さんに抱きついて泣いている花恋の後ろ姿があった。
俺には入る勇気がない…