きいろい青空【完】



ここの席は特等席だ。


窓側の一番後ろ。



あ、竜也だ!


5時間目の退屈な古文の授業を受けながら、外に目をやると発見。



体育の授業を受けている竜也の姿。


ふざけながらだけど、まぁ一応マラソンをやっている。



あんなに友達と笑っているけど、なんの話してんのかな?




ただ走っているだけなのに…


どうしてこんなにも格好良く見えてしまうんだろう…。



“好き”の力ってすごいなぁ……




「…お~い。花恋さ~ん!聞こえてる?」



「え?」



ハッと気付くと、先生に名前を呼ばれていたみたい。


竜也に見とれていて何も聞いてなかったし…




「だから、授業が終わったら職員室来て。今日の日直でしょ?」



よく考えたら…


そうだ、日直うちだった。



「あ……ハイ………」



めんど。


日直なんて、この世から無くなればいいのに!!



そんなことを思いながらも、また外に目をやる。


授業はずっと竜也に見とれていて終わった。



キーンコーンカーンコーン-----。



「じゃあ、花恋さん。よろしくね」



そう残し、古文の先生で担任の麻里ちゃんは出ていった。


あ~~~~~~。


行かなくちゃじゃん…



めんど、めんど…めんどくさぁ~い!



しぶしぶ席を立ち職員室へ向かった。



せっかくの休み時間がぁ~…


もったいないしっ!



「失礼しまぁす。なんすかー?」



職員室に入って、麻里ちゃんのもとへ行った。



「あっ来た来た。次の時間、美術だけど松田先生が出張でいらっしゃらないから、教室で自習だってクラスに伝えて。わたしが遅れるけど行くから。あと、これ持っていって!」



渡されたのは、どっさりと積み重なった古文のノート。


教室で監督をしながらノートチェックするんだろう。




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