きいろい青空【完】
直輝*
教室の入り口で近くにいる先輩に声をかけた。
心細い声で。
「あのぉ…すいません。翼さんいますか?」
休み時間に来てしまった…
3年C組!!
「誰か、うちのこと呼んだー?って、直輝くんじゃん」
教室の床に座って、チャラいメンバーと話していた。
「ちょっと来て下さい」
「なになにー??ちょっと行ってくんねぇ」
立ち上がり、チャラいメンバーに手を振る翼さん。
「行ってらぁ~」
友達と別れてこっちに来る。
でも、翼さんだけ浮いていた。
ひとりだけ、きれいなスッピンになっているから。
「ねぇ、何?」
俺より少し小さい翼さん。
初めてこんな近くで顔を見たな…
まんまるな目が特徴的だった。
こうやって化粧を落とすと、フランスのお人形さんみたいな顔だなと思う。
素のほうが絶対に綺麗だと思った。
「ちょっと、5階に来て下さい」
5階は人が来ないから大丈夫だと思う。
そんなことを思いながら、何も話さず5階に行く俺と翼さん。
ほら。
思った通り誰もいないし。
5階の廊下を見渡すと、なんとも殺風景だ。