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「生きてた!」


 その、まるで生きていたコトが奇跡……というよりも。

 生きていたら何かマズイのか? と不安になるような物言いに、僕はびっくりして、目を見開いた。


「な……何?」


「別に裸になったのは、エッチがしたいから、じゃ無いからね!

 放っといたら、低体温症で死んじゃうから、体温を分けてたのよ!」


 戸惑う僕に後ろを向いて、彼女は。

 側に置いてあった自分の服をぱぱぱっとかき集め、一瞬で着てしまうと。

 まだ、裸でベッドに寝転がっている僕に向かって、ぐい、と睨んだ。


「それで、あなた、誰よ!?

 どうして、あんなところに寝ていたの!?

 わたしが知る限り。

 この一週間ほど入山届けを出して、この山を登ろうとしたパーティは居ないし。

 ましてや、誰かが行方不明になっただの、遭難しただのって、聞いてないわ!」


 彼女の言っているコトに、まぁ、そうだろうな、とは思ったけれども。

 どう説明をすれば良く判らず、とりあえず頭を掻いた。


 ……本当のことを全部話して、良いんだっけ?


 僕の、まだ全部完全にはコピーされていないマニュアルの中では。

 敵対する勢力に捕まったときは、沈黙を守れ、と書かれてたのだけれども……

 僕を雪の中から助けてくれた辺り。

 どうしても『敵』とは認識できず、本当のことを素直に、話すコトにした。


「僕の名前は、R-2-D-69。

 有機物質を主な原材料として出来た、最新型の軍事用アンドロイドだ。

 この山の上にある研究所から、恋敵を追って、外に出て。

 ……足を滑らせたあげく、川に落っこちて流されて来た」


「……は?」


 ……なんで、このヒトは。

 僕の的確、かつ、簡潔な説明に、変な顔をしてるんだろう?

 怪訝な……って言うよりは。

 何だか、笑いをこらえているようにも見える反応に、僕の方が、戸惑った。


「……だから……」


 仕方がないので、もう一度、説明をしようとすれば、彼女はひらひらと僕に向かって手を振った。
 
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